《カルシウムとは》 ◆カルシウムは原子番号 20 の金属元素です。 ◆建設・建築、工業、食品工業、家庭用品、農業畜産など で用いられます。 ◆ヒトを含む生物の代表的なミネラル(必須元素)です。 |
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《人体では》 ◆人体の構成成分としてのカルシウムは、成人男性の場合 で約1 kgを占めています。 ◆骨の主成分はリン酸カルシウムで99%は骨や歯に含ま れています。 ◆残りの1%(約10g)がイオンとなって私たちの体(血液・ 細胞)に存在しています。 ◆この1%(約10g)のカルシウムイオンが魔法の金属と言われ正常な生命活動に不可欠な役割を担っています。 《カルシウムイオンの体内での主な働きは》 ・骨や歯を形成し丈夫にする ・ヒフ、粘膜を強くする ・心臓や筋肉の収縮弛緩を制御して正常に保つ ・血液や体液の状態を一定に保つ ・脳や神経の情報伝達に関与する(正常化) ・精神を安定させる ・ホルモン分泌を調節する ・免疫作用において重要な役割をする ・様々な酵素の働きを助けるetc. 《カルシウムイオンが不足すると》 体内のカルシウムイオンが不足すると、体内のカルシウムイオンを一定に保つ為に骨や歯からカルシウムイオンが溶けだし体内(血液・細胞)に補います。 ↓ カルシウム不足が続くと、その結果 骨粗しょう症・高血圧・アレルギー疾患・皮膚粘膜の疾患・体調不良・更年期障害・神経症状・不眠など神経系、骨格系、筋肉系、ホルモン系、免疫系など人体の恒常性が低下し、様々な症状が発生します。 |
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◆カルシウムの年代別推奨摂取量は(mg/日) (厚生労働省・日本人の食事摂取基準2010年度版) |
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《カルシウム摂取における注意》 ・閉経以降及び高齢期では骨量は減少する。 ・更年期に著しい骨量減少が起こる。 ・高齢者では腸管からのカルシウム吸収率が顕著に低下する。 ・中高年期(特に女性)ではカルシウム不足に注意が必要。 ・消化管からのカルシウム吸収は主にエネルギーとマグネシウムイオンが必要とされる。 ・カルシウムの吸収には、内臓の働きが正常で元氣 であることがポイント。 ※カルシウムを効率よく体内に吸収するには質の良いカルシウム剤の補給と、日頃からイオン化カルシウムを吸収できる体作りが大切です。 ◆カルシウムの取りすぎは? カルシウムを一度にたくさんとったとしても、腸で吸収されずに便で排泄されたり、腸で過剰に吸収された分は尿に排泄されたりして、血中のカルシウムを一定に保つぐシステムが体には備わっています。 一日摂取量は最大2300〜2,500mgまでとされていますので、通常の生活(食事やサプリメント)でカルシウムの取りすぎということはあまりないようです。 カルシウムは一時的に大量に摂取しても意味がありませんので、毎日継続してとりつづけることが必要です。 只カルシウムだけを摂り過ぎるとカルシウムとマグネシウムのバランスが崩れ、マグネシウムが不足します。(緊張と緩和のバランスが崩れる) その結果、便秘、こむら返り、心筋梗塞、貧血などが起こりますが、心臓疾患が要注意です。 (カルシウムとマグネシウムの比率は2:1の割合がベストです。) |
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カルシウムパラドックスについて 通常カルシウムを充分補給していると血圧は比較的安定しています。 高血圧の方が病院で血圧降下剤を処方してもらいますが、最初は軽めのカルシウム拮抗剤を服用します。 細胞内のカルシウム濃度が高くなると、細胞は硬く、血管も弾力性が低下して硬くなります。 ここで疑問がおきると思います。 この矛盾を解くのがカルシウムパラドックスです。
〔カルシウムパラドックスと病気の関係〕 |
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カルシウム不足、気になる度チェック!!◆思い当たることいくつありますか?
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からだの中のカルシウムは充分ですか? | ||
Ca++が充分ある時 | Ca++が不足する時 | |
神経と心 | 神経が安定 よく眠れる 自律神経の安定 組織の安定 |
神経の異常 ヒステリー ひきつけ 自律神経失調症 神経衰弱 ストレス 怒り |
ホルモン | ホルモン正常化 体内酵素賦活 若さを保つ 内臓の強化 ツヤのある顔 スタミナ 病気の回復が早い |
ホルモンの異常 体内酵素異常 慢性病 糖尿病 低血圧 不妊症 更年期障害 |
骨・筋肉 | 骨の強化 筋肉の働きが良い 歯・骨が丈夫になる 平滑筋と骨格筋がともに健康 |
骨の脆弱 筋肉の働き鈍化 骨粗しょう症 関節・背腰痛 発育不良 胃腸下垂 胃アトニー 虫歯 |
免疫 | 免疫正常 長寿 健康である 疲れにくい 体調が良い 風邪にかからない |
免疫異常 病気が治りにくい 風邪を引きやすい だるい 肺炎・気管支炎 肝臓病 リウマチ 癌 |
皮膚・粘膜 | 抗アレルギー 虫にさされても腫れにくい 皮膚の抵抗力が強い 傷の治りが良い(早い) |
アレルギー体質 慢性湿疹 ゼンソク 皮膚病 気管支炎 鼻炎 ちくのう(副鼻腔炎) 化膿 |
血管と血液 | 血管の若さを保ち、血液をきれいにして、血栓を防ぐ | 動脈硬化 血行不良 生活習慣病 高血圧 心筋梗塞 心不全 狭心症 脳血管性痴呆 肩こり 頭痛 |
カルシウムのお話し【その2】 ■二つの顔を持つカルシウム カルシウムは人間の体格を作るだけではなく、人間を「動かし」、「考えさせている」ことが明らかになってきました。 カルシウムといえば「骨」や「歯」を連想しますが実際、人間の体内カルシウムの99%は「骨と歯」です。では残り1%は? それは血液中にイオンを帯びたかたちで存在しています。そしてそのまた1万分の1が「細胞の中」にあります。(カルシウムバランス)。そして、この細胞内の極微量のカルシウムが細胞の働き、寿命などと関わり、ホルモンや酵素などの生理作用にも影響を与え、生命維持の大きなカギを握っているのです。まさにカルシウムは我々の体内でハードウェアとソフトウェアの二つの顔を持ち重大な役割を果たしています。 人間の体内には約1kgのカルシウムが存在しますが、その1%→10gが血液中に、そしてそのまた1万分の1→1mgが細胞の中にあるということになります。 細胞内に存在するたった1mgのカルシウムがなければ我々人間は動くことも出来なければ考えることも出来ません。 細胞内のカルシウムは、その「濃度」を変化させること(カルシウム振動)で筋肉を動かしたり、神経伝達物質を放出したりしています。筋肉のカルシウム濃度が高くなれば筋肉は収縮して「動き」となり、神経のカルシウム濃度が高くなれば情報が伝達され、「思考」に繋がるというわけです。 ■カルシウムをコントロールする「副甲状腺ホルモン」 体内のカルシウム濃度(カルシウムバランス)は大変重要で常に一定に保たれていることで生理機能を正常に働かせています。 血液中のカルシウム濃度が下がると、カルシウムが貯蔵されている「骨」からカルシウムを引き出して血液中に補給します。血液中のカルシウム濃度が正常に戻るとその時点で副甲状腺ホルモンの分泌は停止します。しかし食事からのカルシウム補給が常に不足すると副甲状腺ホルモンの分泌の指令を頻繁に出して副甲状腺機能亢進状態となり、分泌量が必要量を上回ってしまいます。 骨から出るカルシウム量が多くなると血中カルシウム濃度も上昇し、その状態が長く続くと身体の生命現象に悪影響を与えます。→高血圧、動脈硬化など血管疾病を引き起こしやすくなります。 ■「汗や尿」としてカルシウムは常に失われている。 私たち人間は、代謝により1日180〜400mg(大小便150〜250mg、汗30〜150mg)のカルシウムが失われていきます。日本人の平均カルシウム所要量は1日650mgといわれ、自然な調整法として食事でカルシウムを摂取し、不足した時は骨に貯蔵したカルシウムを使うことになります。骨のカルシウムを使い過ぎると、高齢者では骨粗しょう症になります。 ■ カルシウムバランスを崩す最大の原因は「カルシウム不足」 「10000:1」というカルシウムバランスが崩れる理由、それはカルシウム不足に他なりません。 カルシウム摂取が少ないなどの理由で、血中カルシウム量が低下すると副甲状腺ホルモンがこれを察知し、骨のカルシウムを血中に引き出します。しかし摂取不足状態が長くなると、骨から引き出すカルシウムは多くなり細胞内に余計に入り込みさまざまな機能に支障が生じます。 また、カルシウムを充分摂っていても、加工食品、動物性たんぱく質、炭酸飲料、アルコールなどの摂りすぎ、喫煙、ストレス睡眠不足などで体外に排出され、結果的にカルシウム不足になることがあります。 ■ カルシウムは吸収されにくい カルシウムは人体に吸収されにくい栄養素です。そのため頑張って大量の小魚を食べたり牛乳を飲んだりしても充分摂取するのはなかなか難しいのが現状です。また加齢によっても吸収率は低下します。 (20〜30代で30%、40〜50代で20%、60代〜10%)カルシウムを吸収する仕組みは胃で胃酸により「イオン化」されたカルシウムだけが腸管に入っていきます。イオン化する為にはやはり元気な胃にすることが大切です。 [細胞内でのカルシウムの様々な働き] ■ 「生命誕生」とカルシウム振動 生命が生まれる瞬間(受胎時)、最初に必要とするもの、それがカルシウムです。 受精の直後、まず強くて長いカルシウム振動が起き、その後、今度はすばやい振動が2、3分おきに連続して起きます。最初のカルシウム振動は受精卵の表層に膜を作り他の精子を締め出すことを促し、その後のすばやい振動は受精卵の細胞分裂を導いているのです。 カルシウムが不足していると受精も起こりにくくなります。また、せっかく妊娠しても妊娠合併症を起こしたり、骨盤の形成や維持、規則正しい陣痛にも問題が起きかねません。 胎児の成長、産後の回復や授乳のためにも充分なカルシウムが必要となります。 ■「心臓」で生命維持に関わっている 心臓の規則正しい拍動は心筋にカルシウムが正常に出入りすることにより維持されています。血液中のカルシウム濃度が一定だから正常に出入りすることができるのです。カルシウムが不足すると不整脈を起こすこともあります。 ■「動脈硬化」「高血圧」とカルシウム 血管壁に傷がつくことが動脈硬化への第一歩とも言えますが血管が柔軟性に富む健康な状態であれば傷は付きにくく回復も早いので心配は有りません。 しかしカルシウムが不足すると骨から引き出されたカルシウムが血液中で過剰となり血管壁細胞の中に溜まり血管を硬くします。過剰となったカルシウムはコレステロールと同様、血管壁に付着し、石灰化し、血管を硬くして動脈硬化を進め高血圧の原因にもなるのです。 ■「糖尿病」とカルシウム 血糖値が上がると膵臓からインスリンが分泌されるという巧妙なシステムにもカルシウムが関与しています。カルシウムは血中の糖分量の増減を感知し、それを膵臓に伝達してインスリン分泌を調整する働きをします。糖尿病の原因はインスリン不足ですが、その原因はさまざまです。 中でも、カルシウムの伝達機能が低下することで起こる糖尿病をインスリン非依存型糖尿病(2型糖尿病)といい、生活習慣病と呼ばれる糖尿病はこれにあたります。 カルシウムの伝達が正常になされるには、血液中と細胞内のカルシウム濃度が「10000:1」に保たれていることが必須です。このバランスが崩れるとカルシウムは”血糖値上昇”という情報をうまく膵臓に伝えられなくなるため、インスリンの分泌に支障が出ることになります。 ■ 「免疫」とカルシウム 体内に異物が侵入した時、血液の中で異物と戦うのは主に白血球とリンパ球ですが、カルシウムは白血球に働きかけて「サイトカイン」という物質を作り出し、リンパ球内の細胞に情報を与え異物への攻撃を助ける役割を担っています。 ■「脳神経」とカルシウム 脳の中で記憶を司る大切な場所を「海馬」と言います。神経細胞とそれから出る神経線維が集積して、色々な部分で運動、言葉、記憶などの役割分担をしています。カルシウムは神経細胞の働きにも決定的に重要な役割を果たしています。 また副甲状腺ホルモンは骨や腎臓にだけ働くと思われていましたが、脳の神経細胞にも働いていることが証明されました。カルシウム不足で副甲状腺ホルモンがたくさん出てくると、骨からカルシウムが引き出され脳細胞の中へ押し込みます。 神経細胞の働きは情報を伝えることですから、カルシウムが細胞の中で増えてしまうと一時的に細胞の外と中の濃度差がなくなり情報を伝えることが出来なくなります。その結果細胞はその役目をはたせなくなります。更にカルシウムが細胞の中で増えると脳細胞は死んでしまい認知症などの原因にもなります。また、心理的ストレスを長期間受け続けると海馬の神経細胞が破壊され萎縮します。心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ病でもその萎縮が確認されています。 |