現在、日本は国民の4分の1(3186万人)が65歳以上という超高齢化社会を迎えました。平均寿命も更新し続け世界でトップクラスの長寿国です。出生率は低下傾向で総人口は減少していくものの高齢者の数は今後も増え続ける見込みです。
このような状況の中で、今後は高齢者のQOL (生活の質)を高め健康寿命を伸ばす、いわゆる「元気で長生き」に向けた取り組みが重要になってきました。
寿命が伸びる一方で、最近ロコモティブシンドローム(運動器症候群)が大きな問題となっています。中でもひざ痛は歩行困難や認知症、寝たきりなどの要介護に移行するリスクが非常に高いといわれています。そして、その『ひざ痛』で悩む人は全国で1800万人にも上ると推計されます。 |
そこで、今回は「ひざ」についてのお話です。
『足、腰、ひざ』を大切にして元気で楽しい毎日を送りたいものですね!
膝関節は主に「大腿骨」と「頸骨」からなり、骨の端は厚さ3〜5mmの「関節軟骨」という柔らかい組織で覆われており、膝の動きをなめらかにしています。
また二つの骨のすき間には軟骨の一種である「半月板」があります。
更に関節部分はその外側を関節包という膠原繊維でできた袋で覆われ、関節液を分泌して関節腔内を満たしています。この関節液は、膝関節がスムーズに動くように潤滑油の役割を果たしたり、関節軟骨に酸素や栄養素を供給しています。 |
私たちは、立ち上がったときには体重のほとんどを左右の膝だけで受け止めています。この時水分をたくさん吸ったスポンジのような関節軟骨がなければ痛くて支えられません。関節軟骨からは水分が関節腔内に出て、軟骨は薄くなります。そして座って体重の負荷がなくなれば、また水分を吸って元の厚さに戻ります。このように軟骨は柔軟性を持っているので、体重がかかっても削れないですんでいます。
実際、座った姿勢から立ち上がったり、また歩いたり走ったりするときには大きな力が膝関節に加わり、体重90kgの人が歩くときには、瞬間的に片膝にかかる重量は1トンともいわれます。 |
軟骨は80%を水分が占めています。その水分を蓄えるのに重要な働きをするのが、プロテオグリカン(ムコ多糖)といわれるもので、グルコサミンやコンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸などからできています。軟骨細胞は、関節液中に分泌されたグルコサミンを原料にしてコンドロイチン硫酸とヒアルロン酸を作り、軟骨の中に分泌します。そこでプロテオグリカンができます。またリジンというアミノ酸を原料にしてコラーゲンUを作り分泌します。 |
軟骨細胞は酸素や栄養をエネルギーとし軟骨の構成成分であるプロテオグリカンの形成と維持を行っています。軟骨には血管がありませんが滑膜には血管があり、そこから産生される滑液(関節液)によって酸素や栄養を受け取っています。つまり口から摂る材料だけでなく、血液の質と血液循環を良くすることが軟骨細胞を元氣にする重要なポイントです。
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